12. 歩くということ

ゆっくり歩く
一歩一歩がこんなに重いなんて
噛みしめて歩く
歩く旨味を感じる

空よ、緑よ、
歩くということは
食べるということと同じように
旨味があるんだね
一歩一歩 おいしく噛んでいるうちに
一痛一痛 胸に響く

彼女にすぐに会いたい
されど男は焦らず
そうだ この土も誰かが死んでできたんだ
だから旨いのか

そうだ
旨いものというのは
それだけ沢山のものを喰っている
すると
僕が喰われると旨いのだろうか――

そんなことを思っていたら
城の門まで来ていた


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(C)1999 篁 龍骨