13. 離島詩
島の長老が出てきた
「どうです、冒険といっても
ただ気を付けて歩くだけでしたでしょうが」
「ええ、とても大変でした…
今まで、気を抜いて生きてきましたから」
「いけませんなあ」
「よく交通事故に会うのですよ、専ら被害者として…」
「ほお、一度、加害者になって別の苦しみを味わってみれば、二度と会わずに済みますよ」
「年寄りらしからぬこと云わないでくださいよ」
僕らは笑った
すると彼女が来た
僕はまるでデートの時間に遅れたかのように
「待った?」
と訊いた
「いいえ、そうでもないわ」
「…あのさぁ」
「何?」
「…、タクシーに戻ろうか」
「ええ」
何だか今は云えなかった
車の中で云おう
絶対に…
その時、島の長老が云った
「それでは、お気を付けて」
「ええ、お世話になりました」
「いえいえ、ここのところ来る方がなくて退屈だったものですから」
「すると僕らは暇潰しの道具ってところですか?」
「否、いや、そんな…」
皆で笑った
極、普通の島だったけれど
不思議な島――
すると
「おい、おまえ、俺と勝負するか!?」
あの青年だ
「やあ」
「どうだ、まだ俺と勝負したいか?」
「そうだな、トランプでならやってもいい」
「ははは…、おまえも彼のように無殺生の冒険をしてくるがいい」
長老は青年に云った
「いや、俺はまだやりたかねえな…
俺は男のロマンを追求してからだ…
こいつはマセているだけさ」
僕は云った
「じゃあな」
「おう」
青年は応えていった
「それでは」
と、運転手が島を出るように云った
「さようなら」
僕らは
島を出た――
(C)1999 篁 龍骨