秘密室ボン |
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清涼院流水著 (講談社ノベルス 700円) |
この本は一部マニアには確実に受けるでしょう。小説の形をとりながら「密室定義講義」をしているのですから。あからさまな定義から、そう言われればそうだよな、というものまで、クイズ形式(それも○×クイズ)で簡単だけどわかりやすく書かれていて面白いです。 しかも「講談社ノベルス」ファンにはたまらない「おまけなぞなぞ」もついてるし、推理小説ファンは必読ですね。ただ、あのラストはちょっと清涼院らしくないかな、と。(す) |
まろうどエマノン |
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梶尾真治著 (徳間デュアル文庫 533円) |
シリーズ4作目(長編としては2作目)です。 地球誕生後の記憶をすべて持っている主人公「エマノン(No Nameを逆から読んだだけ)」の、こころ洗われるSF(サイエンス・ファンタジー)物語。 この著者の作品の中で一番好きなシリーズです。ちなみに、この著者は映画化(2003年)された「黄泉がえり」の原作者でもあります。(す) |
キッチュワールド案内(ガイド) |
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唐沢俊一著 (早川書房 1300円) |
初めてこの著者(前々から気にはなっていた)の作品を読んだが、選んだ作品が悪かったのか、すべての作品がこんな感じなのか…。
読後感がこれだけ悪かったのは、何年振りだろう…。 とにかく「引用」が多過ぎる! もっと自分の意見を書け! 自分の本だろうが!(す) |
Pの密室 |
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島田荘司著 (講談社 1600円) |
御手洗潔シリーズ最新作だが、いままでの作品と比べると「お粗末」に感じた。 設定が御手洗の幼稚園・小学生時代のせいなのか、ネタ・トリックのせいなのかはわからないが、 「なんか違う。御手洗潔シリーズはこんなんじゃない」というのが、 ファンの人には申し訳ないが、私(私だってこのシリーズのファンなのだ)の素直な感想だったりする。 田中雅美や二階堂黎人など、いろいろな作家が幼稚園児探偵・小学生探偵モノを世に出している今、 単なる後追い企画にしか思えないのも辛いトコロだ。(す) |
入 神 |
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竹本健治著 (南雲堂 905円) |
「ウロボロスの偽書」などの推理小説で有名な推理作家の書き下ろしコミックだったりします。 なんか、著者は若いころに漫画家になりたかったらしい。しかし、ならなくて(なれなくて?)よかったと思う。 とにかく「下手」。人物のデッサンが狂いまくり。コマ割りもいまひとつ。テーマの「囲碁」も一般の人にはわかりにくい。 ただスゴイところもある。アシスタントに作家・編集者・評論家・翻訳家など多数の著名人の協力を得ているところだ。 オマケに装丁が京極夏彦ときた。(ただの職権濫用じゃないかとも思えるが) つい、興味本位だけで買ってしまったが、囲碁はわからないしちょっと後悔してたりします。(す) |
銀河熱風オンセンガー |
山本正之著 (ソニーマガジンズ文庫 560円) | |
あの「タイムボカン・シリーズ」で一部のファンにのみ有名な山本センセイの初の小説(それもオチャラケ小説)だったりします。 ところどころにセンセイの手書き文字が入ったり、主題歌が書かれていたり、得意の言葉遊び満載と、ファンにはたまらない一冊です。 が、ファン以外の人にはきついかもしれないです。正直、すっげえくだらないんスから。くだらなすぎる。 ま、それがまたいい味だしてるんですけど。(って、ファンにしかわからないよな〜) 鬱状態のときに読むとハイ状態になれること間違いなし! かもよ?(す) |
緋文字 |
ホーソーン著 (新潮文庫 438円) | |
このタイトルは「ひもんじ」と読みます。エラリー・クイーンの作品「ひもじ」とは読み方も作品ジャンル・テーマとも違います。 解説にある「人間性の問題を象徴的に浮かび上がらせた心理小説」というコトバに魅かれて気がついたら買っていた。 躁状態のときに読んだので、ちょっと重かったですが、哲学・思想・人間性(心理を含む)など、 いろいろと考えるきっかけになったのはよかったのでは、と思います。(す) |
イーハトーブ乱入記 〜僕の宮沢賢治体験 |
ますむら・ひろし著 (ちくま新書 660円) | |
いままでにたくさんの「賢治本」が出ているが、それらは妙に堅苦しく研究書の域を出ていなかった。
この本はそれらとは少し違っている。確かに研究書といえば研究書なんだけれど、ただ賢治の作品を読むだけではなく、
関係者への取材や現実との比較など、著者らしい独特の観点からの切り口もいい。 また、著者が漫画家なだけにイラストも多く、文章と合わせてかなりわかりやすくなっている点も見逃せない。(す) |
古今黄金譚 古典の中の糞尿物語 |
林 望著 (平凡社新書 680円) | |
いや、よくもまあこれだけ糞尿ネタを探し出したもんだ、というのが正直な感想。
でもこれだけたくさんの糞尿ネタがあったことに関して驚いたのも事実。取り上げられた作品を読むと、
著者は「笑える」「楽しい」と評しているが、私個人的にはどこが可笑しいの、という作品が多く感じられた。 しかし、古典作品を読むときの新しい楽しみ方を示唆されたような気がする。(す) |
日本の無思想 |
加藤 典洋著 (平凡社新書 740円) | |
「ホンネとタテマエとはなにか」というテーマなのだが、「マルクス」「カント」「福沢諭吉」などの啓蒙思想や
「ヨーロッパの公と私」などを引用しているために、内容が「思想」「哲学」的になっている。 そのため、ちょっと軽めのテーマなのに、難解なモノになってしまったのが残念。(す) |
日本語練習帳 |
大野 晋著 (岩波新書 660円) | |
読みやすいし、練習問題もあってわかりやすい。「単語」「文章」「敬語」などをわかりやすく解説してあるので、
日本語の読解力がつくと思う。 学校の先生もこういうふうに説明してくれてたら、今でも苦手な「敬語」とかもわかっていたかもしれない。(す) |
雪 国 |
川端 康成著 (新潮文庫 古本で購入) | |
「国境のトンネル…」の書き出しはあまりにも有名だが、案外読まれていないのではないだろうか。
実は私も今ごろになって初めて読んだ。で、読後の感想は、と訊かれたら「日本人なら四の五の云わずに読め」である。 映像がありありと目に浮かんで来るような情景描写。凛とした冬の冷気に当てられたような感を受け、読後その余韻をしばし味わった。 これがノーベル賞の実力なのだ。読めもしないのに英訳版を読みたくなった。(め) |
もっとも危険なゲーム |
ギャビン・ライアル著 (ハヤカワ文庫 600円) | |
「深夜プラス1」に並び、英国推理作家協会賞を受賞したハードボイルドアクションの名作。
著者は元空軍パイロットで記者も勤めたことがあり、拳銃マニアでカーマニア。これだけでもどんな内容かわくわくするじゃないか! 活字から火薬が匂ってきそうなリアルな描写。けしてヒーローにはなれない主人公。けしてハッピーではないエンド。 「半熟」のハードボイルドはもう要らない。「軟弱なヤツは読むな」である。(め) |
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