14. 恋
だんだん海が赤くなっていく
だんだん空も赤くなっていく
夕凪の彼方を
ゆっくりと日が沈んでゆく
彼女は僕の腕をぎゅっと締め付けた
僕は口を開いた
「なあ」
「え?」
「さっきはごめん」
「何で?」
「君に当たっちゃって…せっかくの誕生日なのに」
「いいのよ」
「えっ」
「だってあなたは素敵だわ…
失うものがあっても、それを次の糧にすることができるのだから」
「…」
「それに冒険の時に感じた、私は幸せだって…
好きな人が、私の為に私のところへと来てくれるのだから」
彼女が凄くいとおしくなってきて
そのまま
抱きしめてしまった
彼女は流石に驚いた様子だったが
どうやら彼女の方からも力がかかってきて
何故か僕の目から涙が落ち
その涙を見て
彼女も涙を落とした
胸がすうーっとしていく気分だった
(C)1999 篁 龍骨