15. もう一つのプレゼント
運転手は気遣いながら云った
「あのそろそろ目的の場所に着きますが…」
すると彼女が
「そうですか、ありがとう」
僕は尋ねた
「目的地って」
「もう一つプレゼントがあるって云ったでしょう」
「そうだったね」
「あのプレゼントの箱、もう開けた?」
「いいや、まだ…家に帰ってから開けることにするよ」
「そう、じゃあ感想手紙で頂戴ね」
「ところで、中身は何?」
「秘密よ!」
「教えてくれないの」
「びっくり箱」
「びっくり箱ってあれかい、中から変なのがビヨーンて出てくる…」
「驚いた?」
「意外だな」
「うそよ」
「…なんだ、うそか」
「ごめんね」
「別に謝ることじゃあないよ」
「目を見開いていたから…、怒ったのかと思ったわ」
「びっくりしたのさ」
「何故?」
「いや、今迄すべて素敵だったからね、一寸」
「でも、びっくり箱みたいなものよ」
「そりゃ、あれだけでかいのだから、何が入っていたって驚くよ」
「そうね」
運転手は上機嫌で口笛を吹いていた
かもめは高らかに啼き
魚たちは踊りながら泳ぐ
「さあ、見えてきましたよ」
運転手が指差した向こうには
海に浮かんだ
大きな木で造られた
城があった…
(C)1999 篁 龍骨