7.冒険者の島
新たな島が現れた
今度はさっきよりも大きな島だった
家もある
とても大きな木があって
太い枝の間にその家は建っている
入り口には梯子が架けられて
“ハックルベリー= フィン”がひょっこり現れそうな
幼いころに憧れた樹上の棲処
「降りてみますか?」
運転手に頷き、僕らはその島に降りた
「案内しますよ」
運転手がタクシーから降りてきた
「車、そのまま止めていくのですか?」
「ええ、この島の人は皆、冒険好きな人たちですから、
車なんかがあると“こわしちまえ〜”て云うものでしてね…」
なるほど
大抵こういう人たちは好奇心が人一倍だから
歩いていくとすぐさま、
島の人たちが僕らの周りにやってきた
彼女は久しぶりに口を開いた
「みんな優しそうな人ね」
「そうだね」
やがて島の長老があらわれ、僕らに訊ねた
「誕生日のご旅行ですか?」
「ええ」
彼女は応えた
そうだ、今日は僕の誕生日
そして、彼女の誕生日
忘れていた
そういえば、タクシーに乗るとき
「まだプレゼントがあるの」と云っていた
そう、これは誕生日のデートの途中だった
(C)1999 篁 龍骨