8.冒険ゲーム
彼女のポケットには
僕が贈ったプレゼントの人形が入っていた
人形には
――愛する人――
と書かれてあり、あいかわらず光っている
長老がそれを見つめて
「ほお、素晴らしいものを持っておりますね」
「ええ、彼からもらったのです」
「誕生日のプレゼントですか」
「もちろんです」
「素敵な恋人をお持ちですね」
「はい、素晴らしい人です」
長老は頷いてから続けた
「どうです、少し冒険をしてみては」
「今までも冒険でしたよ」
運転手が口を入れた
「いやいや、それとは格が違いますわ…どうだね、お若いの?」
長老は僕に訊いた
「おもしろそうですね」
僕は応えた
「冒険といってもゲームみたいなものでしてな、
まず、このお嬢さんをお預かりしてあの山の頂上にある城に隠します…
あなたは、このお嬢さんをそこから助け出せばいいのです…
とは云っても城にただ辿り着ければいいだけですが」
「何かテレビゲームによくあるような感じですね」
「ええ、但しテレビゲームと違うことはあなたに与えられる条件です…
あなたはあの城に行くまで虫一匹足りとも殺してはいけない――傷つけてもいけない
いいですかね」
「そうですか…」
と、応えている間に
目の前の人たちが皆消えた
その時、城に黒い旗が揚がった
どうやら、とんでもない冒険になりそうだ
(C)1999 篁 龍骨